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低分子阻害因子
影響を安定させる

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惑星テラ見聞録 2003年9月1日以降での検索です。
 このページは、
 ネイチャー誌の癌関連論文紹介
 です。
2002年6月15日開設
2005年8月15日改訂
自己の宇宙、遥かな宇宙 全ての答えがこの宇宙にあります。
惑星テラ見聞録は、答えを探す切っ掛けを提案します。
ネイチャー誌の癌関連論文紹介
2005
920日号

 一次ヒト線維芽細胞をHLI98化合物で処理すると、p53レベルもHDM2レベルも上昇します。ユビキチン化したp53は検出されず、この化合物がプロテアソーム機能ではなく、ユビキチン化を阻害するものであることと矛盾しません。

 細胞系におけるHLI98化合物には、ほかのRINGフィンガーE3と比較して、多少のHDM2選択性があった。この化合物は、マウス胚線維芽細胞(MEF)のMDM2(HDM2のマウス相同体)不在下では、p53を安定化せず、PIRH2およびCOP1など、p53を分解の標的とするほかのE3を阻害しないことがわかりました。このほか、MDM2以外のE3リガーゼによって調節される別のタンパク質であるp21を安定化することもなかったです。

 では、HLI98化合物によるp53の安定化は、p53の活性化をも促すのでしょうか。

 Weissman らは、HLI98化合物で処理すると蓄積するp53が、転写的に活性であり、p53標的遺伝子CDKN1A (p21をコードする)およびPUMAの転写を誘導することを明らかにしました。

 p53がもつ腫瘍抑制という役割の重要な部分は、アポトーシスの誘導であり、HLI98によって安定化したp53がアポトーシスを誘導する能力は、カスパーゼの活性化および処理したMEFにおける細胞死の増大によって示されました。

 しかし、HLI98による処置はほかにも、p53依存性の細胞周期の停止およびアポトーシスを引き起こし、ユビキチン系のE2酵素や、ほかのE3酵素に対する作用など、上記化合物の的外れ活性を反映しています。

 以上のデータは、ユビキチンリガーゼ阻害因子の本質を示す証拠であり、腫瘍におけるp53再活性化の方法として、HDM2とp53との相互作用の阻害に代わるものを提供しています。 Ezzie Hutchinson


 この論文の原文は、ネイチャー誌で確認してください。

血管新生 代替経路

 低酸素誘導因子1 (HIF1)は、低酸素に反応する腫瘍の重要な転写メディエータであり、治療標的として魅力的です。

 Yusuke MizukamiらはNature Medicineの9月号で、癌細胞が酸素不在下で生き延び、血管新生を誘導する機序がほかにもあることを報告しています。

 ヘテロ二量体タンパク質HIF1は、サブユニットおよびより成る転写因子で、低酸素条件下で活性化して、血管内皮増殖因子(VEGF)など、血管新生をメディエートする遺伝子をアップレギュレートします。

 Mizukamiらは、HIF1のsiRNAノックダウンによって大腸癌細胞のHIF1を阻害するだけで腫瘍血管新生が阻害されるかどうかを検討しました。HIF1ノックダウン細胞をマウスに移植したところ、なんと、現れた腫瘍の血管は、依然としてよく分布していました。

 しかも、この大腸癌のVEGF発現は、野生型レベルのHIF1を発現する腫瘍の50%減だけでした。VEGFレベルは低くても新生血管が形成されていたということは、HIF1不在下で代償的にアップレギュレートされ、腫瘍の血管分布を維持する血管新生因子がほかにあるのでしょうか。

 Mizukamiらはこの疑問に答えるべく、低酸素状態の大腸癌細胞に関する遺伝子発現分析を実施しました。

 特に目を引いたのは、HIF1 ノックダウン細胞では、向血管新生サイトカインのインターロイキン8 (IL-8)が2.5倍アップレギュレートされていましたが、野生型レベルのHIF1を発現する細胞にはこれが認められなかったことです。

 さらに、膵癌、乳癌および肺癌の各細胞のHIF1をノックダウンしても、類似したIL-8の誘導が認められました。

 転写因子NF-B (核因子B)はIL-8の転写調節因子としてよく知られていることから、Mizukamiらは、この過程にみるその役割を検討し、低酸素状態に反応して活性酸素種(ROS)が産生され、これがNF-Bを活性化して、IL-8のアップレギュレーションに至ることを明らかにしました。

 この反応は、ROS阻害因子によって不活化することができました。さらに、Mizukamiらは、大腸癌での変異がよくみられるKRAS癌遺伝子もこの経路を開始させること、すなわちKRASをノックダウンすると、低酸素状態におけるNF-BおよびIL-8のプロモーター活性の誘導が抑制されることを明らかにしました。

 代償経路が活性化して腫瘍血管新生反応を温存できることから、HIF-1またはVEGFを阻害する戦略は、IL-8を同時に標的にした場合に最も効果的であると考えられます。  Kristine Novak


 この論文の原文は、ネイチャー誌で確認してください。


 遺伝子の変異によって、腫瘍抑制因子p53が消失する腫瘍は多いけれども、p53を標的にしてプロテアソーム分解するユビキチンリガーゼ(E3) HDM2が不活化されないために野生型p53の不活化が起こることもあります。

 Allan WeissmanとKaren Vousdenらは、HDM2活性を阻害し、それによって野性型p53を安定化および活性化させる化合物を同定しています。これらのデータからは、ユビキチンリガーゼが創薬の標的となりうることがわかります。

 低分子ライブラリのハイスループット・スクリーニングでは、HDM2を介する自己ユビキチン化を生体外で強力に阻害する7-ニトロ-5-デアザフラビン化合物ファミリー(HLI98s)が同定されました。

 HLI98化合物は特に、HDM2のRINGフィンガー領域を阻害し、p53と相互作用する領域は阻害しません。

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