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薬物送達
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惑星テラ見聞録 2003年9月1日以降での検索です。
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 ネイチャー誌の癌関連論文紹介
 です。
2002年6月15日開設
2005年8月15日改訂
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惑星テラ見聞録は、答えを探す切っ掛けを提案します。
ネイチャー誌の癌関連論文紹介
2005
105日号

 この放出動態は、ナノセルのコンビネーションが生体外で腫瘍内皮に及ぼす作用とよく相関しています。

 このシステムは、投与から12時間後という早さで血管系を崩壊させ、30時間後には腫瘍を完全に離断しました。

 Sasisekharanらは、B16:F10メラノーママウスおよびLewis肺癌マウスを用いて、このシステムの治療有効性を生体内で検証しました。

 ナノセルによる連続薬物送達と、それ以外のいくつかの治療法(リポソームだけで一剤のみ、または両剤を同時に送達、ドキソルビシンのみを含有するナノセル、またはドキソルビシン含有ナノセルとコンブレタスタチン含有リポソームとの同時投与)について、作用を比較しました。

 両剤を含有するナノセルを投与した動物は、ほかのどの治療グループよりも腫瘍がよく反応しました。

 実際、薬物を連続投与したマウスの生存率の伸びは、同時投与したマウスの約2倍でした。

 しかも、両剤を含有するナノセルは、いずれの治療法よりも全身毒性が小さいものでした。これは、細胞毒性薬の腫瘍局在効率がきわめて高いためと考えられます。

 Sasisekharanらは、ナノセルに染料フルオレセインを付着させ、腫瘍内および血管がよく発達した臓器の染料濃度を測定することによって、このことを確認しています。

 腫瘍血管系は正常血管系より「孔が多く」、腫瘍組織が大きな粒子を吸収しやすくなっていることから、ナノセルが腫瘍に優先的に留まるのではないかと推測されています。

 この時間的な送達システムは、このような良好な反応をどのようにして引き出すのでしょうか。

 Sasisekharanらは、両剤を含有するナノセルは、ほかの治療薬よりも高レベルのアポトーシスを引き起こすほか、低酸素誘導因子1 (HIF1 )の発現レベルを最低限に抑えて、腫瘍内の高ドキソルビシン濃度に寄与していることを突き止めました。

 では、この新しいシステムの次に来るものは何でしょう。

 ここで用いられたナノセルは、腫瘍血管系をより特異的に狙うプローブを加えて、さらに発展させることも可能です。

 Sasisekharanらは、時間的な薬物送達を用いれば、既存の薬物の有効性を大幅に改善することができ、新しい治療薬を開発するリスクおよび時間が縮小されると指摘しています。  Jenny Bangham


 この論文の原文は、ネイチャー誌で確認してください。

発癌 ぶら下がりのリスク

 長期にわたる胃でのピロリ菌定着は、知られている中では胃腺癌発生の最大のリスクですが、発癌にまで至るのは、細菌が定着した数多くの個体の一部だけです。

 Richard Peekらは、げっ歯類モデルを用いて、宿主細胞への細菌接着によってリスクが増大する可能性を明らかにしています。

 Peekらは、ピロリ菌のヒト臨床分離株をスナネズミに感染させ、3週間放置してこの細菌を宿主環境に順応させました。

 これにより、発癌過程をさらに検討するのに理想的な、発癌性の高い菌株が生まれました。この菌株をスナネズミのコホートに感染させると、8週間後には75%に胃腺癌が生じましたが、ヒトから単離した親菌株を感染させても、発癌は見られませんでした。

 Peekらは、胃上皮細胞を試験管内で用い、発癌性菌株で核の カテニン量が増大することを突き止めました。

 さらに、ルシフェラーゼアッセイからは、 カテニン依存性転写活性の誘導が明らかになりました。これらは、多くの腫瘍の進行に重要な現象であり、ほかの発癌物質によっても引き起こされます。

 しかし、Peekらは、ピロリ菌が上記変化を引き起こす機序が、 カテニンのリン酸化およびユビキチン化の遮断という通常のものではないことを知って驚きました。そうではなく、ピロリ菌の病因遺伝子である塩基配列(cag)セットが関与していたのです。

 この遺伝子は、分子装置をコードして塩基配列A(CagA)タンパク質を宿主細胞に移入し、そこでは塩基配列A(CagA)が宿主のホスファターゼSHP-2を活性化して形態学的変化を引き起こします。

 一連の遺伝子ノックアウト実験からは、発癌性菌株の病理学的特性が、実際に塩基配列A(CagA)によるものであることが裏付けられました。

 では、発癌性菌株とその親菌株とが、いずれも塩基配列(cag)遺伝子を有し、マイクロアレイによる比較でも獲得遺伝子または、欠損遺伝子に大差が見られないとすれば、両菌株はどう異なっているのでしょうか。

 両菌株は塩基配列A(CagA)を同レベルで発現しましたが、発癌性菌株の方が宿主への移行が効率的でした。これは、宿主細胞への細菌接着がすぐれていることの結果と見られます。

 上記試験管内所見の中には、げっ歯類を用いて検証しなおしたものがあります。

 ここでPeekらは、発癌性菌株の感染初期にのみ、 カテニンの核局在が増大することを突き止め、この時期が発癌にきわめて重要であることを明らかにしました。

 ほかにも、塩基配列(cag)+菌株に感染したヒトから採取した細胞には、塩基配列(cag)-菌株に感染したヒトまたはピロリ菌感染が全く認められないヒトの細胞と比較して、上皮細胞よりも核に カテニンが多く認められることが確認されています。

 以上の結果から、長期ピロリ菌感染の発癌リスクが高いのは、宿主細胞に接着して胃に留まるよう、細菌に選択圧がかかった結果であると考えられます。

 しかし、関与する遺伝子変化は、未だ正確には特定されていません。  Patrick Goymer


 この論文の原文は、ネイチャー誌で確認してください。

 化学療法薬と抗血管新生薬との併用投与は、腫瘍増殖を緩徐にする方法として特に効果があるようです。

 ただし、この組み合わせには、腫瘍への血液供給を遮断すると、薬物濃度が上がりにくくなり、低酸素状態が化学療法抵抗性遺伝子発現の引き金を引くといった実際的な問題もあります。

 現在、Ram Sasisekharanらは、こうした複雑さを上手く回避する高度な送達システムとして、「ナノセル」(腫瘍に局在して腫瘍血管系を遮断した上で、腫瘍細胞に細胞毒性薬を送達する)を考案しています。

 このナノセルは、生分解性高分子でできたナノ粒子を封入したリン脂質エンベロープより成っています。

 リポソームには、抗血管新生薬(ここではコンブレタスタチン)が組み込まれ、ナノ粒子には化学療法薬ドキソルビシンを接着させています。

 Sasisekharanらは、コンブレタスタチンがエンベロープから迅速に抜け出す一方で、抱合型ドキソルビシンが緩徐に遊離して、小さく不活性なフラグメントに分解された上で、さらに活性のある遊離ドキソルビシンに分解されることを確認しました。
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最近の癌関連論文 2005105日号です。