
しかし、ヒトとチンパンジーの違いは考えられていたよりも大きいのかもしれません。 両者のゲノム配列は遺伝子中の単一塩基の置換について見ると1.2 %しか違わないけれども、もっと長いDNA区間の重複や並び替えを考慮すると違いはさらに2.7 %増えるとE Eichlerたちが報告しています。 また別の研究でB Traskたちは、こうしたヒトゲノムの「分節重複」は染色体末端近くのサブテロメアと呼ばれる領域に高頻度で生じていることを示し、これらの部位が両種間の遺伝的違いが生じる「ホットスポット」にあたるのではないかと述べています。 またD Pageたちの報告によると、チンパンジーの「性的な習性」がY染色体にとって不都合に働いている可能性があるといいます。 Y染色体は精子の製造を担う遺伝子群を抱えていますが、この染色体は小型なのでチンパンジーでもヒトでも、他の染色体ほど簡単には組み換えが起こりません。 乱交型のチンパンジーでは、雄は自分の精子で雌を受胎させようと激しい競争をしており、それには大量の精子を作らなければならないから、精子の製造は雄にとって重要問題です。 そのため、さまざまな有害変異がこれらの大事な遺伝子群に便乗して子孫に伝えられたとしても、それが自然選択によって排除されないのです。 この論文の原文は、ネイチャー誌で確認してください。 |
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| 有用細菌の設計図解読 | |
植物病原体の防除に役立つと期待されている有用細菌の遺伝情報が解読されました。 Ian Paulsenたちは、天然の土壌細菌である蛍光菌Pseudomonas fluorescensPf-5のゲノムを完全に解読しました。 このゲノム塩基配列の解読が、この菌がつくる多彩な抗菌物質のいくつかについて、手がかりを与えてくれるでしょう。 この菌が生物学的防除に有用とされるのは、これらの抗菌物質のおかげです。 蛍光菌Pseudomonas fluorescensPf-5はシュードモナスの一種で、環境内での競争に勝つために、微生物の成長を抑えるさまざまな天然化合物を生産します。 抗菌物質をつくるこの菌の能力を活用しようと、農業分野では、病原細菌や病原性菌類の成長を阻害するための散布薬としてP. fluorescensが利用されています。 7.1MbのP. fluorescensゲノムから、この細菌の天然の武器庫について新たな知見が得られました。 この菌の武器には、抗真菌作用をもつ二次代謝産物の生産にかかわる遺伝子、宿主植物に耐性を誘導するしくみや特定の病原体に対抗する戦略機構にかかわる遺伝子が含まれています。 特にPaulsenたちは、生物学的防除機構に一役買っている可能性のある、界面活性剤や複雑なペプチドなどの新規化合物の遺伝子について報告しています。 今回のゲノム塩基配列の分析で得られた新しい情報は、この蛍光菌の農業利用を進めるのに役立つでしょう。 この論文の原文は、ネイチャー誌で確認してください。 |
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ヒトと類縁関係の一番近いチンパンジーのゲノム塩基配列の全容が、今回明らかになりました。 ヒトと他の動物の間に一線を画すものは何なのか、その答えを探す旅の道標の1つにたどり着いたわけです。 このゲノム配列は、チンパンジーゲノム配列解読・解析共同研究体という国際研究グループにより、現在多くの生物種ゲノムの配列解読に使われている全ゲノムショットガン法を使って決定され、9月1週号にまとめて掲載されたチンパンジーゲノム研究報告の1つとして発表されました。 このグループがヒトとチンパンジーのゲノム配列を比較したところ、ヒトゲノムでは強い自然選択を受けた形跡があるのにチンパンジーの対応する配列ではそれがない領域が、複数見つかりました。 これらの配列は、言語などヒトに特異的な形質を見きわめるのに大いに役立ちそうです。 |
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