今日の
NASA宇宙画像
項目 宇宙論他
主題 宇宙論

星の重量制限を
追い求めたハッブル

20050501日号
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Hubble Weighs in on the Heaviest Stars in the Galaxy
Credit: NASA, ESA , STScI
Explanation
Unlike humans, stars are born with all the weight they will ever have. A human's birth weight varies by just a few pounds, but a star's weight ranges from less than a tenth to more than 100 times the mass of our Sun. Although astronomers know that stars come in a variety of masses, they are still stumped when it comes to figuring out if stars have a weight limit at birth. Now astronomers have taken an important step toward establishing a weight limit for stars. Using NASA's Hubble Space Telescope, astronomers made the first direct measurement within our Milky Way Galaxy that stars have a limit to how large they can form. Studying the densest known cluster of stars in our galaxy, the Arches cluster, astronomers determined that stars are not created any larger than about 150 times the mass of our Sun, or 150 solar masses.
 今日の宇宙画像は、星の「体重」「大きさ」の制限についてです。
 これまでも比較として「私たちの太陽」の何倍の質量があるとか大きさがあると用いました。
 今日は、天の川銀河での星の上限が明らかになったかもしれない論文からです。
 地球上では、地球を越える大きさあるいは重さがある物体は、存在しえません。
 それと同じく、星団でもその星団の規模によって最大になる星の上限が定まっているというような内容です。
 至極当たり前的なことを7年間も悩んでいた天文学者チームの結晶の紹介です。
 凡人の方が専門家よりも、臨機応変・柔軟思考の証明ができそうですが、皆さんはいかが思われますか?
 今日の宇宙画像ページの制作に3日間もかけた私は、泰山騒動鼠一匹のような疲れに襲われた思いです。

 2005年 5月2日 t.sasaki
銀河で最も重い星々を計量する
ハッブル
Credit: NASA, ESA , STScI
画像の説明
 人間と違って、星々はいつも全ての重さを持って生まれます。
 人間の出生時体重は、ほぼ数百グラム異なりますが、星の重さは、私たちの太陽の10分の1ちょっとから100倍以上の質量まで変動します。
 天文学者は、星々が様々な質量で誕生するということを知っているけれども、星が誕生時に重量制限があるかどうかを理解するには、まだ悩まされています。
 現在、天文学者は、星々の重量の確立に対する重要なステップを踏み出しました。
 天文学者は、NASAのハッブル宇宙望遠鏡を使って、星がどれくらい大きく生まれることができるか、重量制限があるかどうかについて、私たちの天の川銀河の範囲内で最初の直接測定をしました。
 天文学者は、私たちの銀河の中で最も濃い既知の星団であるアーチ星団を研究して、私たちの太陽のおよそ150倍の大きさまたは、太陽質量のおよそ150倍を超えて、星が誕生しないと結論を出しました。


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 この発見は、天文学者を複雑な星構造プロセスの理解へ連れて行くと共に、そのうえ星々が重量制限を持つという考えに密接で最も強い基盤を与えます。

 星がどれくらい大きく誕生するかについて知ることは、宇宙がどのように星々を作ったのかについても、重要な手掛かりを提供するかもしれません。

 大規模な星々は、宇宙の「実力者」です。

 これらの「実力者」の星々は、宇宙で新星と惑星を作る基礎単位であるより重い元素の多くを製造します。

 大きな星々も、巨大なガンマ線爆発の源として銀河を放射で浸しているのかもしれません。

 これは、銀河内で最も大規模な星々の一部の豊富な集積を含む信じられない星団です。それでも、私たちの太陽質量の150倍を超える大規模な星々を「見逃している」のかもしれません。

 理論は、大規模な星団になるほどその内部に大規模な星々を含有していると予測します。

 天文学者たちは、銀河で最も大規模な星団の1つを観測して、星がどれくらい大きく生ずることができるかを知る素早い近道とわかりました。

Credit: NASA, ESA , STScI

 標準の理論は、130〜1,000の太陽質量の間で、アーチ星団の星々が、20〜30の集団に分かれると予測します。

 しかし、天文学者たちは、何も見つけませんでした。

 もし、そのような集団や星々が誕生していたならば、今回のハッブル観測で見ることができたかもしれません。

 もし予測が1つあるいは2つの星だけで、天文学者たちが1つも見なかったならば、結果として統計エラーによるかもしれないと主張することができるでしょう。

 チームは、今回の結果のテストを兼ねると共に他の星団内で星の重量上限の決定を求めて研究を続けています。

 チームの発見は、私たちの銀河内の小質量星団の統計研究と、私たちの銀河の隣人である大マゼラン雲内のR136として知られている大規模な星団の観察と一致しています。

 その星団で、天文学者は、星々が私たちの太陽の質量の150倍を上回る星は、全く誕生していないことを発見しました。

 科学技術の進歩を持ち得ているとはいえ、星々に関して質量の上部限界を決定するために、星の構造プロセスの詳細について、天文学者は十分に知っていません。

 従って、理論では、星々が私たちの太陽の質量で100倍から1,000倍までの間で大規模な星が誕生し得ると予測しました。

 反対に、星々に関して下限となる重量制限を予測することは、とても簡単でした。

 太陽質量の10分の1未満の天体は、それらの核内部で核融合を保持し、かつ星として輝くには、十分な重さや質量がありません。

 チームがこの発見に至るまで、ハッブル・データの分析に7年間も頭を悩まされ続けたほど星の質量制限は、扱いにくい問題でした。そして、ようやく2005年3月に論文を発表することができました。

 天文学者は、長い間、得た結果が間違っているかもしれないことを自身に理解させようと苦悶していましたが、驚くべき主張には驚くべき証明を必要とすると理解することができました。

 天文学者は、太陽質量の6倍から130倍まで変化する何百もの星々を研究するためにハッブルの近赤外線カメラとマルチ天体分光計を使いました。

 チームの天文学者は、太陽質量の130倍ある星を少しも見つけることができなかったけれども、太陽質量の150倍を内々に上限として定めていました。

 アーチ星団は、私たちの銀河中枢の大規模な星々を形成する温床にあって、およそ25,000光年離れている誕生後200万年から250万年の若い星々の星団です。ここは、ガスの巨大な雲が、巨獣の星々をつくるために衝突している無鉄砲な領域です。

 ハッブルの赤外線カメラは、私たちの銀河の塵塗れ中心核を透過して鋭い映像を作り出すので、望遠鏡にきつく詰め込まれた星団内の個々の星々を見せるアーチ星団の分析に十分な能力を発揮します。

 天文学者チームは、星団の年齢と個々の星々の明るさを計ることによって星々の質量を推定しました。また、質量、化学成分と星団の星々の年齢を確かめるために詳細なモデルを作り出しました。

 星団は、上部の質量制限を確認するために天文学者が使う必要な条件の長いリストを満たさなければなりません。

 星団は、太陽質量の10,000倍も豊富でなければならず、上限を徹底調査するのに十分に大きい星々を生み出せるものでなければいけません。

 また、星団はあまり若くても逆にあまり古くても分析の対象として適しません。

 誕生後250万年よりも古い星団を選ぶことは、大規模な若い星々の多くが、超新星としてすでに爆発したことを意味します。

 誕生後200万年未満の非常に若い星団では、星々の多くがその出生の宇宙塵雲でさらに覆い隠されていますので、天文学者はそのような星々を見ることができません。

 重要なもう一つの要因は、地球から星団までの距離です。

 天文学者は、確実にその星々の明るさを推定するために星団の距離を知っていなければなりません。また、鍵となる成分が星の質量を推定するのに用いられます。

 さらには、星団が、個々の星々を見るのに十分近くなければなりません。

 アーチ星団は、それらの必要条件の全てを満たせる私たちの銀河の中でも、唯一ともいえる星団です。

 アーチ星団は、銀河内のほとんど全ての他の星団より強く輝いています。

 私たちの太陽のような10,000以上の星々と等しい質量で、天の川銀河の至る所に点在する典型的な若い星団の例えばオリオン星団よりも、この怪物星団は、10倍も重いです。

 もし、私たちの太陽系が銀河のこの付近であったならば、散らばる100,000を超える星々が、太陽とその最も近い隣人である4.3光年離れた星のアルファケンタウリの間の隙間を満たすでしょう。

 天文学者は、銀河の中で1000万個の星々の中で1つだけが、アーチ星団内の星々と同じくらい明るいと見積もります。星団の星々の少なくとも10個以上は、私たちの太陽の質量でおよそ100倍の重さがあります。

 チームの天文学者は、上限質量として定めた太陽の150倍を超える大規模な星々の存在を除外できないと考えています。

 もし、そのような星々が存在するならば、そのような重い星々は、大きいもうひとつの星と結合することによって重さを増やすことができました。

 たとえば、私たちの銀河中枢の近くに位置する若いピストル・スターは、私たちの太陽質量の150倍から250倍あります。

 しかし、この星は、とても古い星々の付近に住んでいるので、この巨獣星は不適当であるようです。

 この明らかなつじつまの合わない話を説明できる1つの道は、ピストルが2つの星々の合併から作られた「生まれ変わった」星である可能性があったということです。

 この説明は、まさに理論ではありません。

 天文学者は、古代の球状星団内で他の星々との合併によって生まれ変わったとても古い星々を見つけていました。

 ピストルも、一つの巨星になりすましている対のスターシステムの一部である可能性がありました。それらが、ハッブル望遠鏡でさえ解像することができないので、2つの星々の仮面は未だに剥がされていません。

 天文学者も、二重のスターシステムが、アーチ星団内で最も大規模な星々の一部を作ることができたと注意しています。

 これは、アーチ星団内の星々の重量上限が、太陽の150倍の質量より低いことは有り得ても、それを少しでも上回る星が誕生し得なかったことを意味します。

 天文学者にとっての次のステップは、今回の結果の重量制限をテストするために、より多くの星団を正確に調査することになります。

 シュピッツァー宇宙望遠鏡を含むいくつかの望遠鏡は、私たちの天の川銀河で新しい星団を捜していました。ここ2年の間に、私たちの銀河の中で既知の星団の数は、200〜300であったのが500を越すまでになりました。

 新しく見つかった星団の多くは、全空調査2ミクロン(2MASS)のカタログで編集されています。チームは、研究に値すると考えられる候補として、すでにこれらの新しく発見された星団からおよそ130を確認しました。

 これからの5年間で、これらの星団の精査が行われると共に、星の重量制限についての今回の結果の正誤を得ることもできるでしょう。

ハッブル望遠鏡画像

 星が、どれくらい大規模で有り得るのかについて示したのがこのイラストです。

 私たちの銀河で知られている最大の星団の中の星々の調査では、星々の質量・重量について上限を示します。

 理論的には、こんなに大きい星団は、太陽の数百倍の質量と同様の星々を含有していなければなりません。

 明らかに、現代の宇宙での星形成プロセスは、星々に関して事実上の重量制限に達しています。

 右下の三角形は、星々の発展規模に対する事実上の制限と理論上の発展範囲を示しています。

Credit: NASA, ESA , STScI

 このイラストは、星々の異なる質量を比較しています。

 最も軽い重量の星は、赤色矮星です。それらの星々は、私たちの太陽の12分の1と同じくらい小さい質量の可能性があります。

 最も重い星は、青白い超巨人星です。それらの星々は、太陽の質量の150倍と同じくらい大きくなるかもしれません。

 私たちの太陽は、軽量と重量級の星々の間にあります。

 説明図の底の赤い巨星は、イラストの中の他の星々より非常に大きいです。しかし、その質量は、太陽の質量以下から、太陽の数倍の質量まで変動しています。

 赤色巨星は、その人生の終わり間近で肥大した星です。この短い局面で、星の直径は、その通常よりも数倍も拡大します。

Credit: NASA, ESA , STScI
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 これは、アーチ星団の3つの望遠鏡による観測組み合わせです。

 これらの映像は、およそ2,000の星々のきつく詰まっている集積内で、次第により多くの詳細を現します。 

 アーチ星団は、私たちの天の川銀河で最も密集した星団で、混雑した銀河中心内にあります。

 天文学者は、右側のハッブルの近赤外線カメラとマルチ天体分光計で得た映像を、星団内の星が生まれた時に重量制限があるかどうかの決定をするために用いました。

Credit: NASA, ESA, STScI, JPL