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このページは、今日の地球画像
2005
112日号
 です。
2002年6月15日開設
2005年8月15日改訂
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イタリア・エトナ山の
溶岩流と火砕流の記録

2005
112日号

 今日の地球画像は、イタリアはシチリア島のエトナ山です。

 2002年の噴火画像を主体に破壊的な自然現象の火山について検証したいと思います。

 火山が噴火するとき自然は大暴れします。どの火山も凶器を持ち、溶岩の川を吐き、灼熱の灰で町を覆いつくします。

 地球の気候を変え、世界的な災害も引き起こします。

 恐竜絶滅の原因ともいわれます。地獄の入り口とも考えられました。破壊こそ火山の本質なのです。

 火山は、気候など多くの生命の糧に影響を及ぼしています。

 大気圏の大半のガスを生み、呼吸に不可欠な空気を造りました。火山性の蒸気は、海や川となりました。

 多くの陸地は、溶岩や火山灰でした。火山性の土壌は、非常に肥沃です。

 南イタリアのこの火山も例外ではありません。山腹には、数千年前からブドウ畑が生い茂っています。

Credit: BorisVulcanoetna
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 しかし、好奇心が旺盛な観光客は、危険な火山を平気で闊歩します。

 最近2回の噴火でできた新火口に、数千人が訪れています。

 火口は、数百万トンの溶岩を出す大砲のようです。

 ここ25年間で、11人の観光客が突然の爆発の犠牲となりました。

 これら水蒸気爆発は、割れ目に入った雨水が熱せられれて、岩を飛ばすほど圧力が高まったものです。

 溶岩が吹き出るときのエトナ山は、もっと危険です。

 『火山弾』という溶けた巨岩が降り、専門家でさえ被害に遭います。

 火口付近では、赤を通り越し白っぽい1000度を越す塊が雨のように降りかかります。

Credit : BorisVulcanoetna
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 エトナ山は、両方の性質を持った火山です。

 宇宙から見える層のうち、黒いものが最近の溶岩です。

 巨大な火口が4つあり、最高峰は3000メートル以上です。他の火口には、巨大な火山円錐丘があります。

 大半の火山灰は、噴火で砕け融解した岩です。

 灰は、熱いガスで吹き上げられます。やがて空気と混じり温度が上昇し、風の力で北アフリカあたりまで届くこともあります。

 噴火のたびに奇怪な地形が生まれるのは、地下に潜む恐ろしい力のせいです。

 新しい割れ目から毎日、膨大な量のガスが噴出します。黄色い付着物は、亜硫酸ガスの硫黄分です。

 ガスが空気中で水の分子と混ざると硫酸を形成し、これが酸性雨となって飲料水を汚染し、作物を傷めます。

 火山ガスが、谷や火口に充満すると死をもたらしかねません。

Credit : NASA/GSFC/MITI/ERSDAC/JAROS, et al.
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 全世界には、500以上の火山があり、人口が急増する今日では、5億人以上の人々がその近くで暮らしています。

 シチリア島の町、カターニャは、エトナ山に隣接しています。欧州最大にして、世界有数の活火山です。

 火山は、それぞれ違う凶器を持っています。

 エトナ山は溶岩流が有名ですが、他にも破壊の手段を持ちます。2002年の噴火では、火山灰が6キロ上空まで達しました。

 上昇した灰は、当然下降し一帯は、灰皿のようになりました。そして、連日黒い雨を降らせたのです。灰は、地表を覆い隙間に入り、清掃に数ヶ月を要しました。

Credit: BorisVulcanoetna
オリジナル画像

 山の一部では、溶岩が流れ危険が増しました。

 リフトもケーブルカーも溶岩に埋まりました。レストランは瓦礫の山。

 しかし、修復が図られています。観光客は、凶暴な活火山が好きなので、収入につながるからです。

 噴火後には、地形の変化を見るために火山学者が山頂付近を訪れます。

 エトナ山も構成は、他の火山と同じで、約50万年前の初噴火以降、溶岩と火山灰が堆積したものです。

 火山は成長するにつれ、特徴的な形となります。

 ピラミッド型は、粘着質の溶岩が積もったものです。

 流動質の溶岩は冷えて凝固するまで広がるので、傾斜が穏やかで平らな頂上になります。

Credit : ISS, NASA
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 溶岩流は、通常ゆっくり動きますが、例外もあります。

 速度を左右する流動性は、主にシリカ鉱物の含有量により決まります。

 ハワイ島のキラウエア山のマグマは、シリカ含有率が低く小走りくらいの速さですが、速い溶岩流もあります。

 アフリカでは、場所により時速100キロにも達します。

 2002年のコンゴのネラゴンゴ山の噴火では、突然、膨大な溶岩流がゴマの町を襲撃し、150名が亡くなり40万人が避難しました。

 貧しい国々では、最先端の監視システムが高価すぎるのです。

 その点、エトナ山は24時間体制で細かく調べられています。

 地震計が記録するのは、流れ込むマグマによる振動で、激しくなると何らかの前兆です。

Credit : BorisVulcanoetna
オリジナル画像

 では、溶岩は何処から来たのでしょうか?

 答えは、非常に高温な地底近くにあります。

 地球には、太陽表面と同じくらい熱い核があります。その周辺は、反凝固状の層で、完全に岩の溶けた部分がいわゆるマグマです。

 火山は、マグマが溶岩として噴出する地殻の裂け目なのです。

 噴火は、一般的に地球を覆うプレートのつなぎ目に沿って発生します。

 大半の火山が属する環太平洋火山帯は、東南アジアから太平洋岸沿いに延び南アメリカに達しています。

 ここで、太平洋プレートが陸地にぶつかるのです。

 エトナ山は、アフリカ・ユーラシアプレートの間で形成されました。

Credit : Salvatore Lo Vecchio
オリジナル画像

 落下する音は、戦場で飛び交う銃弾の嵐のような音だったと火山弾雨に襲われた火山学者はのべています。

 頂上付近には、巨大な古い火山弾が散在します。

 火山弾は小さくても油断は禁物です。

 キャベツくらいの大きさの軽い火山弾であっても、打たれたならば死の世界に旅立つことになります。

 非常に危険です。

 エトナ山の山腹の溶岩は、半年ほど前のものであっても地表から10センチほど下でさえ、摂氏500度以上もあり新聞紙が発火するほどです。

Credit : Salvatore Lo Vecchio
オリジナル画像

 噴火から13キロ離れた場所で、ある男性が火砕流に気づきました。

 2分後には全速力で車を走らせましたが、赤い壁は容赦なく迫ってきました。

 程なく高速道路に入ることができ、どうにか逃げ延びられました。

 火砕流のスピードは、時速150キロ以上です。

 無謀なことが好きで死と付き合いたいあなたには、絶好の火砕流と出会える場所をご紹介しましょう。

 カリブ海の火山島モントセラトをお勧めいたします。

 ここには、世界一危険な火山のスーフリエールヒルズがあります。

 かつて、島の中心地のプリスマは、観光客が溢れる活気ある町でした。
ところが、1997年のことでした。

 山が住民の許可を得ずに勝手に突然、噴火したのです。

Credit : MODIS, GSFC, NASA
オリジナル画像

 火砕流は、飢えた怪獣のようにプリスマの町を飲み込み、場所によっては海にまで達しました。

 町は、まさに『灰色』一色に埋まり、建物の屋根は抜け落ち、道路は1メートル以上も高くなり、戦場の廃墟の様相を呈しました。

 何故、火砕流は破壊的なのでしょうか?

 ガスが灰や岩を内部に留めている状態なので、地表との摩擦が少なく、ひたすら動き続けるからです。

 しかも、私たちのように空気を吸ってなおかつ高温を維持したまま成長し、幅を広げつつ勢いを増します。

 高温の通り道では家々が、次々に当然発火し燃え尽きます。ガスに運ばれた巨大な岩が建物の壁を襲います。大量の灰が積もり焼け残った屋根も崩れます。

 火砕流による町の破壊は、以前にもありました。

 2000年前にも起こり、もっと悲惨な結果を招きました。


 この続きは、次号の今日の地球画像で・・・


 地震は止められないので、専門家も発生場所を予測するだけです。

 マグマが発する放射性物質ラドンの探測装置を地中に埋めます。

 電源を入れたら待つこと15分。結果が連続して打ち出されます。高い数値は、マグマの上昇、つまり、地震の可能性を意味します。

 急な危険性はなくとも、マグマの上昇は確かという事になります。

 噴火の可能性は、常に付きまとっています。

 溶岩や火山灰、地震の危険もあります。

 しかし、世界の他の地域には、もっと危険な火山があります。

 その種の火山は溶岩を出さず、超高温のガスや岩片、火山灰を空中高く噴き上げます。

 爆発するのは、マグマが極端に濃く粘着質だからです。

Credit : MODIS, GSFC, NASA
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 出口を塞がれたガスが逃げ場を失い、圧力が蓄積します。

 そのような過程は、実験室で見ることができます。

 マグマの代用品である樹脂に高圧で液化ガスの混合物を容器に詰めます。爆発すると圧力が急降下し、まず、ガスが無数の泡を作りそれが膨らみます。

 もし、マグマが流動質なら泡は、簡単に膨らみ溶岩を空中に噴き上げます。

 しかし、このとき、マグマが固形質だと、マグマを粉砕する、つまり、爆発が起こります。

 この種の噴火こそ、最も恐ろしい凶器です。

 高温のガス雲と火山灰、そして、岩の破片が山肌を駆け下ります。この『火砕流』が非常に凶暴なのです。

 火砕流が広がる距離は、東京23区よりも広くて逃れることは不可能です。


 もうひとつの方法は、神がかりと議論を呼びました。

 1991年、ある農家に向かって溶岩流が流れてきました。

 状況は絶望的で、祈るしかないと考える住民もいました。

 溶岩が突然、柵を超え、歩くくらいの速度で迫ってきました。どんどん近づき、硫黄臭も漂いだしたほどでした。

 しかし、突然、溶岩が家の手前で止まりました。家屋の壁まで1メートルもないところでした。

 奇跡だと考えた人もいて、祭壇が建てられました。

 ただし、以前は豊かだったこの土地で、もうブドウ畑は作れません。

 一方、奇跡が起きなかった家もあります。

 溶岩はなくとも危険が、存在します。

 山頂から遠くても、火山性地震が起きるからです。

 地元の学校では、火山は、重要な学習項目です。

 火山性地震は前兆がなく、建物さえも崩壊させるからです。

 避難訓練も低学年から繰り返します。

 火山の近くでは、日々の心がけが肝心なのです。

 マグマやガスが上昇し、岩盤層を破壊すると火山性地震が発生したり、マグマ噴出の空洞が陥没したときにも起こります。

 エトナ山では、東斜面の一部が滑落したときにも衝撃波で地震が発生します。

Credit : BorisVulcanoetna
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 山腹に建つ教会は、一見、不動に見えます。ところが、2002年、マグニチュード4.4の地震で激しく揺れました。

 そのとき、司祭は結婚式の最中でした。

 大砲のような非常に大きな噴火音がしました。床は上下に、壁は左右に揺れました。

 このときの地震で、100棟以上の建物が崩壊し、1000人以上の住民が避難しています。

 司祭が他の教会に行くと、そこは、悲惨な状態でまさに、神も仏もいませんでした。教会全体が崩れた瓦礫で曇っていて、天井から剥がれた漆喰などが山積していました。

 瓦礫の山が、教会でした。

 この教会の修復費用は、おそらく数億円も掛かるでしょう。正確な金額はまだ不明ですが、教会の内部の足場を組むだけで5000万円を超えました。


 そのガスは、山頂付近に雲を形成します。

 それを安全な場所から最新機器で測定し、亜硫酸ガスが多ければ噴火が近いことを意味します。

 名刺大の箱ひとつで、ガスの測定ができます。

 しかし、火山は、先端技術をもしのぎます。

 2002年に噴火したときには、3時間前まで平穏でした。

 ただし、噴火は予知できても、溶岩流は止められません。

Credit : Salvatore Lo Vecchio
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 1669年の噴火では、膨大な溶岩流とシャベルを持った男たちが闘いました。

 勝敗は明白、溶岩流は町を越え、15キロ先まで流れました。

 近代的な機械を使っても、溶岩流は止められません。

 溶岩を積み上げつつ終着点まで進むのみです。進路を逸らすか火口近くで防ぐ方が賢明です。

 1991年には、溶岩流が近くの町に迫りました。

 万策尽きた住民が助けを求めたのは、米軍でした。米軍は、巨大なコンクリート塊で流れを止めようと計画しました。

 溶岩が冷えて筒状に固まる辺りに塊を落とし、『パイプライン』を造る作戦でした。

 効果があるように見えましたが、溶岩流が自然にとまったのかもしれません。


 一方、宇宙からの情報も使います。

 上空で衛星が火山を観測しているからです。

 山の側面が膨張してくれば、噴火の起きる可能性を示します。

 大量のマグマが上昇すると、巨大な圧力が発生し、このとき、山の側面が極端に膨らむことが多いのです。

 そして、マグマの圧力があまりに強いと圧力鍋のように噴出します。

 噴火予知法は、他にもあります。

 エトナ山観測でも活躍する技術です。

 火山内部にマグマがあるとガスが放出されます。

Credit : ASTER, SRTM, JPL, NASA
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