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このページは、今日の地球画像
2005
113日号
 です。
2002年6月15日開設
2005年8月15日改訂
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今日の地球画像
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過去、現在、未来へ叫ぶ
ポンペイの火砕流

2005
113日号

 今日の地球画像は、カリブ海の火山、セントへレンズ、そして、イタリアの火山です。

 古代都市のポンペイの火砕流による埋没は、2000年前の出来事ですが、まるで現在起こったかのように鮮明な被災状況を伝えています。

 古代都市ポンペイがあったのは、現在のナポリ付近ベスビオ山が迫る一帯です。

 西暦79年、このベスビオ山が噴火し火砕流がポンペイを襲いました。

 厚く積もった灰が、遺跡や亡くなった人々を保存しました。

 今日の地球画像で取り上げたこの火砕流が襲ったカリブ海の小さな国モントセラトでは、幸いにも未来の歴史で化石になるのを免れることができました。

 モントセラトにある町のプリスマ崩壊の2年前から専門家が、火山の不穏な状態を指摘し、当局が島の南部から住民を避難させていたのです。

 犠牲者は、立ち入り禁止区域にいた19人のみでした。

 ただし、火山活動は今も活発で、島の大半に入れないままです。

Credit: University of Pennsylvania
拡大画像

 このときのセントへレンズの噴火が大惨事になった原因の一つは、縦方向に爆発したことです。

 噴火は、山の中身を周囲に撒き散らしたようで、巨大なU字型の火口が出現しました。

 山は、ひとたび火を噴くと更なる凶器、火山灰を噴き上げました。

 爆発タイプの火山は、マグマが砕かれ溶岩を流す火山よりも灰が多くなります。

 しかも、非常に細かいため、上空50キロの大気圏にまで達します。

 噴煙は、天気も左右します。

 火山性の雷を伴うので、嵐を引き起こすのです。

 嵐の原因は、灰の分子が擦れ合って生じた静電気です。

 無数の雷が落ち、火事を発生させるこれも、火山の凶器でしょう。

 やがて熱風と噴煙が冷えると、灰の分子が湿気を含み、滝のような豪雨が降ります。

Credit: U.S. Geological Survey
小噴火で息抜きするセントへレンズ オリジナル画像

 アメリカのワシントン州には、別の凶器を持つ火山があります。

 セントへレンズ山は、不安定な灰と溶岩から成り、巨大な地滑りと連鎖反応の危険があるのです。

 1980年、北壁にマグマの隆起ができ、急激に膨らみ始めました。

 やがて火山性地震で、地滑りが起こり隆起が崩壊しました。

 シャンペンの栓を開けた状態となり、噴火と地滑りが同時に発生し、しかも、爆風による雲は周囲28キロに広がりました。

 立ち入り禁止区域は、狭すぎました。

 死者の数は75名、爆風で数百万本の樹木が倒れ、灰色の荒野となりました。

Credit: U.S. Geological Survey
かつては穏やかだったセントへレンズ オリジナル画像

 経済が大打撃を受け、住民の半数は他国に移住しました。

 その間も頂上の溶岩ドームは、成長を続けました。

 不安定な溶岩ドームは大きくなるほど、崩壊して山を駆け下りる危険性が高まります。

 地下のマグマが噴出する可能性もあります。

 しかも、ハリケーンの季節には、山肌が水を含みドームが崩壊しかねません。

 モントセラトにある火山のスーフリエールヒルズには、他にも脅威が存在します。

 火山灰が上昇しないのです。爆発直後に崩れ落ち、火砕流として山を駆け下ります。

Credit: U.S. Geological Survey
スーフリエールヒルズの火砕流 オリジナル画像

 水槽を使った実験なら火砕流の流れがわかりやすいです。

 水槽の底から噴き上げる人工の灰は、崩壊すると火砕流のように底に沿って広がります。

 火山灰が濃密で重かったりガスが少ない場合、このような状態になるのです。

 更に、この山は小さいながらも邪悪な凶器を持っています。

 細かい灰が広い範囲を『詰まらせる』のです。

 また、灰の微小な粒子は、吸い込むと肺の奥深くまで到達します。

 そして、肺がんなど呼吸器系統の疾患を起こすようです。

Credit: U.S. Geological Survey
廃墟の町プリスマ オリジナル画像

 雲から水分を吸収できるほど高い山で、よく見られる現象です。

 雲が山頂付近まで上昇すると水分が冷却し凝縮して、雨や雪となって氷河を形成します。

 噴火時には、この氷河が解け灰やその他の石片と混じりセメントに成ります。

 これが『火山泥流』を作るのです。

 豪雨が招く火山泥流もあり、高速で遠くまで達します。

 1985年、ネバド・デル・ルイス山の噴火では、頂上の氷河の一部が融解、約2時間後には、50キロ離れたアルメロを泥流が襲いました。

 死者は、2万1千人に上りました。

Credit: U.S. Geological Survey
ピナツボ噴火の火山泥流の被災状況 オリジナル画像

 一方、2000万トンの亜硫酸ガスも大気圏に撒き散らされました。

 ガスは、硫酸質の雲を形成し、赤道を越えて広がり、日照にも影響を与えました。

 以降、地球の気温は、2年以上も低いままでした。

 噴煙がジェットエンジンに詰まり惨事を招く危険性もあります。

 過去25年間に2機のジャンボ機がエンジン停止に陥りました。

 再始動が一瞬遅れれば、大惨事になったことでしょう。

 現在では、世界中に広がる噴煙は、専門的に監視されています。

 火山が天候に影響を与える例は、他にもあります。

Credit: U.S. Geological Survey
噴火で腰を抜かした飛行機 オリジナル画像

 セントへレンズ山では、風で広がった灰が町を覆い、農作物を台無しにしました。

 植物にも苛酷な環境です。

 山から135キロ離れたヤキマの町でも高速道路や空港が閉鎖され、町の機能は完全に停止しました。

 しかし、天候への影響なら、1991年に起きたピナツボ山の噴火が最悪でしょう。

 これは、20世紀最大の噴火の一つで、大量の火山灰が4万2千戸の家を壊しました。

 屋根の灰が雨を吸い重くなったのが主な原因です。

Credit: U.S. Geological Survey
ピナツボ山の噴火 オリジナル画像

 ナポリの海岸線は、3万9千年前の大噴火で全て造られました。

 噴火は巨大な火砕流を発生させ、厚い灰で何もかも覆いつくしました。

 同じことが再び起これば、人類の生存能力が試されます。

 過去も現在も、そして未来も、破壊こそが火山の本質なのです。

Credit : FrimerRasmussen
古代都市ポンペイの遺跡 オリジナル画像

 心配が尽きない中で、最悪の情報があります。

 先史時代の巨大な噴火では、恐竜など多くの生物が絶滅したらしいのです。

 6500万年前、恐竜たちは絶滅の一歩を踏み出しました。

 巨大な小惑星の衝突が取りざたされていますが、大噴火が地球規模の災害を誘引したという説もあります。

 噴火により太陽光が遮断されたため、地表の温度が劇的に低下、水は汚染され植物は生育不良、そのため、恐竜の食料が減ったり卵が汚染されたのかもしれません。

 火山灰の降下に対応できず、絶滅へ向かった可能性もあります。

 将来、地球のどこかで、地中の猛烈な力が、巨大噴火を生むかもしれません。

 記録では、10万年に1回ほど大噴火が起きています。

Credit : BorisVulcanoetna
1779年8月のベスビオ山の噴火 オリジナル画像

 当日は、ごく普通の一日が始まりました。

 スクーターで走行中だった2人の男性は、海岸近くに来たとき、迫りくる津波に気づきました。

 それは、波のようであったけれども非常に大きくて、恐ろしい音が聞こえました。

 丘を目指す2人を追ってきた水の壁は、海岸に通じる階段の中ほどまで上ってきました。

 波が海岸全体を覆い尽くし、砂浜が消え海しか見えませんでした。

 海岸沿いの建物は、波の衝撃で崩壊、部屋の中にあった物は、引き潮に持ち去られました。

 部屋に入って見えたのは、腰までの高さの砂と膨大な石の数でした。

 部屋の真ん中には、今でも重機でないと取り去れない数百キロの重さの岩が鎮座しています。

 ガス台のフライ鍋には、天ぷら油の代わりに黒ずんだ砂が入っていました。

 ストロンボリ山は、突然、牙をむいて島民を襲ったのです。

 しかし、山の潜在能力は計り知れません。

 当局は、津波襲来を受けしばらくの間、避難命令を出しました。

 夏の休暇時期であったならば、ケガ人は数百人に上っていたかもしれません。

Credit: BorisVulcanoetna
ストロンボリの噴火 オリジナル画像

 シャッカ・デル・フオッコは、前回、一部だけが崩れたので、比較的小さい津波でした。

 それでも波は、50キロ離れたシチリア北東部に達しました。

 大きな地滑りなら津波が、南イタリア沿岸の町まで破壊しかねません。

 今日の地球画像2005年1月2日号でも取り上げているように、世界中へ広がる巨大な津波も起こるのです。

 巨大な地滑りは、マグマの出口を作ったり噴火を誘引する原因にもなります。


 海を介して災害を起こす火山もあります。

 2004年12月のスマトラ沖大津波被災までは、『津波』という言葉さえ知らない人も多かった強力な凶器、巨大な津波を起こすのです。

 2002年、イタリア沿岸のエーオリエ島が、津波に襲われました。

 この火山の島が『犯人』でした。

 ピラミッド型のストロンボリ島です。

 壮大な噴火を目当てに世界中から観光客が訪れます。

 火口で見られる小噴火には特徴があり、『ストロンボリ式火山』という言葉もあります。

 しかし、一方で、恐ろしい山でもあります。

Credit: BorisVulcanoetna
オリジナル画像

 山の標高は、900メートルほどですが、周囲の海底火山の2倍で、山肌は不安定です。

 溶岩の通り道、シャッカ・デル・フオッコは特にもろい箇所です。この小峡谷は、5000年前に巨大な地滑りでできました。

 同様の事態が、2002年の末にも起こりシャッカ・デル・フオッコの一部が崩壊しました。

 そして、レンガを池に投げたのと同じことが起こりました。

 即ち、巨大な津波が周辺の島々にも達したのです。

 その日のことを島民は忘れません。

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